好きなサツマイモの品種の選び方

「焼き芋が大好き!」という方は多いのではないでしょうか。

サツマイモを焼き芋にした時には、食感や甘さなどさまざまな特徴があります。

本記事では焼き芋の品種を「食感」「甘さ」「色」という3つ視点から、どういった特徴があるのかを分かりやすくご説明したいと思います。

好きなサツマイモを選ぶための「3つの視点」

焼き芋にするサツマイモを選ぶために、「3つの視点」からそれぞれの品種の特徴を見てみましょう。

焼き芋にするサツマイモの特徴は、以下のタイプ別で特徴を分けることができます。

ただし、以下の特徴はあくまで一般的な傾向であり、品種によっては例外もあります。

同じ品種でも、栽培方法や貯蔵条件によって、味や食感が異なる場合がありますので、参考としてご覧ください。

【視点1】食感

  • ホクホク系: 昔ながらの焼き芋のイメージに近く、どこか懐かしい味わいが楽しめます。
  • ねっとり系: とろけるように柔らかく、ねっとりとした濃厚な舌触りです。

【視点2】甘さ

  • 甘さ控えめ: 素材の味を楽しみたい方や、食事と一緒に焼き芋を食べたい方におすすめです。
  • ほどよい甘さ: 甘さは控えめですが、それでもしっかりとした甘みがあり、上品な味わいが楽しめます。
  • 強い甘み: デザート感覚で焼き芋を楽しみたい方におすすめです。

【視点3】色

  • 黄色: 一般的なサツマイモの色で、ホクホク系、ねっとり系どちらの品種もあります。
  • オレンジ色: β-カロテンが豊富で、甘みが強い傾向があります。
  • 紫色: アントシアニンが豊富で、抗酸化作用が期待できます。

「食感」で選ぶ

焼き芋の食感は、大きく分けて「ホクホク」「ねっとり」「しっとり」の3種類に分けられます。

それぞれの特徴は以下の通りです。

【食感1】ホクホク系

ホクホク系

ホクホク系のサツマイモは、水分が少なくデンプン質が多いため、加熱しても細胞が壊れにくく、ホクホクとした食感が保たれます。

ホクホク系のサツマイモを焼き芋にすると、以下のような特徴があります。

  • 食感: 繊維質を感じられ、ホクホクとした粉質の食感。まるで栗のような、ほっくりとした食べ応えがあります。
  • 甘み: 強い甘みというよりは、上品で素朴な甘さ。加熱することで甘みが増しますが、ねっとり系に比べると控えめです。
  • 見た目: 皮の内側が淡い黄色で、ねっとり系に比べて水分が少ないため、蜜が滲み出ることはあまりありません。

ホクホク系のサツマイモは、天ぷらや大学芋、スイートポテトにも向いています。

ホクホク系の代表的な品種には、以下のものがあります。

  • 紅あずま: 関東地方を中心に広く栽培されている品種で、ホクホクとした食感と程よい甘さが特徴です。焼き芋はもちろん、天ぷらや大学芋にしても美味しくいただけます。
  • 鳴門金時: 徳島県鳴門市周辺で栽培されている品種で、鮮やかな黄色とホクホクとした食感が特徴です。焼き芋だけでなく、煮物やレモン煮にしても美味しくいただけます。
  • 土佐紅金時: 高知県で栽培されている品種で、鮮やかなオレンジ色とホクホクとした食感が特徴です。焼き芋にすると、まるで安納芋のようなねっとり感も感じられます。

【食感2】ねっとり系

ねっとり系のサツマイモは、水分が多くデンプン質が少ないため、加熱すると細胞が壊れてペースト状になり、ねっとりとした食感になります。

ねっとり系のサツマイモを焼き芋にすると、以下のような特徴があります。

  • 食感: とろけるように柔らかく、ねっとりとした濃厚な舌触り。まるでクリームやスイートポテトのような滑らかさがあります。
  • 甘み: 強い甘みと蜜のような濃厚な風味。加熱することで糖度が上がり、生の状態よりもさらに甘くなります。
  • 見た目: 皮の内側が鮮やかな黄色やオレンジ色になり、蜜が滲み出ていることもあります。

ねっとり系のサツマイモは、スイートポテトや干し芋にも向いています。

ねっとり系の代表的な品種には、以下のものがあります。

  • 安納芋: 種子島原産の品種で、非常に高い糖度とねっとりとした食感が特徴です。焼き芋にすると蜜が溢れ出すほど甘く、まるでスイーツのような味わいです。
  • 紅はるか: 現在、最も流通量が多い品種の一つで、高い糖度と滑らかな舌触りが特徴です。焼き芋はもちろん、干し芋やスイートポテトにしても美味しくいただけます。
  • パープルスイートロード: 紫色の果肉が特徴的な品種で、アントシアニンを豊富に含んでいます。焼き芋にすると、鮮やかな紫色になり、見た目も楽しめます。

【食感3】しっとり系

しっとり系

しっとり系は、ねっとり系の濃厚な甘さと、ホクホク系のあっさりとした甘さ、両方の良いところを併せ持ったバランスの取れた味わいが楽しめます。

しっとり系のサツマイモを焼き芋にすると、以下のような特徴があります。

  • 食感: ねっとりとホクホクの中間のような滑らかさ。絹のような舌触りの良さで、しっとりとした水分を感じられます。程よい弾力ともっちり感があります。
  • 甘み: ねっとり系の濃厚な甘さと、ホクホク系のあっさりとした甘さ、両方の良いところを併せ持ったバランスの取れた味わいが楽しめます。
  • 見た目: 皮は品種によって赤紫色や濃い紅色などがあります。果肉は加熱によって濃い黄色や黄金色になり、蜜が表面に滲み出て光沢がある場合もあります。

しっとり系の代表的な品種には、以下のものがあります。

  • シルクスイート: 絹のように滑らかな食感と上品な甘さが特徴です。焼き芋にすると、ねっとりとした食感の中に、ほのかな繊維質を感じることができます。
  • 五郎島金時: 加賀野菜の一つで、上品な甘さとねっとりとした食感が特徴です。焼き芋だけでなく、煮物や天ぷらにしても美味しくいただけます。
  • 高系14号: 九州地方を中心に栽培されている品種で、紅あずまよりもさらにホクホクとした食感が特徴です。焼き芋にすると、まるで栗のような香ばしさと甘さを楽しめます。

「甘さ」で選ぶ

焼き芋の食感は、大きく分けて「強い甘味」「程よい甘さ」「控えめな甘さ」の3種類に分けられます。

それぞれの特徴は以下の通りです。

【甘さ1】濃厚な甘さ

甘味が強いサツマイモには、以下のような品種があります。

  • べにはるか:ねっとりとした食感と、蜜のような強い甘さが特徴です。焼き芋にすると、まるでスイーツのような味わいに。
  • 安納芋:種子島特産のさつまいも。ねっとりとした食感と、濃厚な甘さが特徴です。焼き芋にすると、蜜が溢れ出すほど。
  • シルクスイート:絹のように滑らかな舌触りと、上品な甘さが特徴です。焼き芋にすると、ねっとりとした食感と蜜のような甘さが楽しめます。

【甘さ2】程よい甘さ

程よい甘さのサツマイモには、以下のような品種があります。

  • 紅あずま:「安納芋」や「紅はるか」などと比較すると、甘さは控えめですが、それでもしっかりとした甘みがあり、上品な味わいが楽しめます。その甘さはしつこくなく、バランスが良いのが特徴です。
  • 鳴門金時:徳島県鳴門市で生まれた品種で、ホクホクとした食感と上品な甘さが特徴です。焼き芋はもちろん、天ぷらや煮物にしても美味しくいただけます。
  • 五郎島金時:石川県金沢市の五郎島地区で栽培されている品種です。ホクホクとした食感と、上品でやさしい甘さが特徴です。焼き芋や大学芋にすると、素材の美味しさが引き立ちます。
  • 高系14号:九州を中心に栽培されている品種です。ホクホクとした食感と、あっさりとした甘さが特徴です。焼き芋や天ぷら、煮物など、様々な料理に合います。

これらの品種は、甘すぎず、素材本来の風味を楽しめるため、食事との相性も抜群です。ぜひ、色々な品種を試して、お好みのサツマイモを見つけてみてください。

【甘さ3】控えめな甘さ

控えめな甘さのサツマイモには、以下のような品種があります。

  • パープルスイートロード:鮮やかな紫色が特徴の品種です。甘さは控えめで、あっさりとした味わいです。サラダやスムージーなど、彩りを添えたい料理におすすめです。

「色」で選ぶ

焼き芋にするサツマイモの品種には、大きく分けて黄、オレンジ、紫の3色の品種があります。

【色1】黄色

一般的な品種は焼き芋にすると黄色から黄金色っぽい色になります。

  • 紅あずま・鳴門金時: やや白っぽい黄色
  • 紅はるか・シルクスイート: 深い黄色
  • 安納芋: 黄金色

やや白っぽい黄色のものがホクホク系で、深い黄色のものがねっとり系の傾向があります。

【色2】オレンジ

オレンジ色の品種の特徴はβカロテンを多く含んでいて、ねっとりとホクホクの中間のような食感のものが多くあります。

  • ハロウィンスイート: 生芋は薄いオレンジで、加熱すると鮮やかなオレンジ色になります。しっとりねっとりとした食感が特徴で、通常のサツマイモの100倍のβカロテンが含まれています。
  • あやこまち: 鮮やかなオレンジ色が特徴のサツマイモです。上品な甘さで、しっとりねっとりとした食感です。
  • 隼人芋:鹿児島県で古くから栽培されている品種です。βカロテンを多く含んでいて「人参芋」とも言われています。

【色3】紫

パープルスイートロード

紫色の品種はアントシアニンという抗酸化作用のある色素を多く含んでいるため、栄養価も高いのが特徴です。

一般的な黄色やオレンジの品種と比べると、やや粉質で水分が少ない傾向にあるため、低温でじっくりと焼くことでより美味しい焼き芋に仕上がります。

  • パープルスイートロード: 紫色の果肉が特徴的な品種で、アントシアニンを豊富に含んでいます。焼き芋にすると、鮮やかな紫色になり、見た目も楽しめます。
  • アヤムラサキ: 果皮と果肉がともに紫色で、アントシアニン含有量が非常に高いのが特徴です。

まとめ

まとめ

本記事では焼き芋の品種を「食感」「甘さ」「色」という3つ視点から、どういった特徴があるのかを説明させていただきました。

焼き芋にするサツマイモを選ぶ時のヒントになれば幸いです。

サツマイモはさまざまな品種改良がおこなわれていますので、ご紹介した品種以外にもたくさんの焼き芋に適した品種があります。

ぜひ、色々な品種を試して、最高の焼き芋を探してみてください。